「そこじゃない」ものばかりがキラキラする世界Marie NishiMar 23, 20242 min readそこじゃない。それが伝えたかったんじゃない。伝えたいメッセージがあるのに、そこに辿り着く前にもう遮られてばかりだ。今のは差別だ、今のは批判だ、なんだその容姿、話し方、行動は。違う、そのつもりはなかった、伝えたかったことは…そんなときにはもう誰も聞いていないたったひとつのピースだけが自分の元からばっと引き剥がされて本当に、あっ、という間に届けるつもりのなかったところまでそのピースだけがひとり歩き。たくさんの視線だけがこっちを向き、誰も耳を傾けやしない。口を塞がれ、手足を縛られ、そのピースを強調するような発言だけが求められる。私達は気付けばどんどん「聞く」ということが難しくなっていって「欲しい」ものばかり探すようになってるのかもひとつのピースはどこからきたのかその前後にはどういう話がひっついてたのかそもそもその話をしたかったのはなぜなのかそんなことに頭を、耳を、傾けることは出来ているのだろうか。どこからきたのか、なーんも知らずに、あちらこちらから掻き集めたピースを光ってて、面白そうで、フレッシュなものから次々と人に見せつけてみんなが興味なくしたらポイッとする。その繰り返し。捨てられたピースが、やっと自分の元に戻ってきた頃にはなにもかも吸い取られてしまった抜け殻のようで伝えることも、動くことも、なにも出来なくなってしまう。あのとき、本当に伝えたかったのはなんだったんだろう。もう口に出すことをやめてしまったメッセージはどれだけあるんだろう。ほとんどすべて切り取ってゴミ箱に捨てられた「本当のメッセージ」はいつか私達の耳に届くことはあるのだろうか。こんな簡単に音が届いてしまう世界で、おかしなくらい綺麗(編集)にされてしまった世界で私はゴミ箱を漁ってでも切り取られてしまった部分をまた繋ぎ合わせて相手の想いに耳を澄ませたい。相手がなにを伝えようとしていたのか辿り着くことのなかった想いを私はちゃんと聞きたい。そこじゃない、ものばかりがキラキラする世界に本物の輝きを引き出せるように。
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